「親が亡くなった後、実家の相続は何から手を付ければいい?」
「名義変更や税金には期限があると聞いたけれど、どれから確認すればいい?」
このようなお悩みはありませんか?
親が亡くなった後は、実家の名義変更、税金の申告、荷物の片付けが同時に頭へ浮かびます。どれも放っておけないように感じますが、すべてを一度に始める必要はありません。
最初に確認するのは、期限のある手続き、遺言書の有無、実家の現在名義、借金を含む財産の4点です。この記事では、実家の相続手続きを期限の確認から相続登記まで順番にたどります。今日確認することと、家族で決めることを分けて読めるため、親と離れて暮らしていた人も次の行動を選べるでしょう。
実家の相続手続きで最初に確認する4つの期限
最初に行うのは、自分に関係する期限を1枚に書き出すことです。相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記には、それぞれ異なる期限と対象者が定められています。
| 手続き | 期限 | 関係する人 | 最初の確認事項 |
|---|---|---|---|
| 相続放棄 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内 | 財産と借金を引き継がない選択を検討する人 | 借入金、連帯保証、未払い金の有無 |
| 準確定申告 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 | 亡くなった親に確定申告が必要だった場合などの相続人 | 前年の申告書、源泉徴収票、事業や不動産の所得 |
| 相続税申告 | 死亡したことを知った日の翌日から10か月以内 | 課税対象となる財産額が基礎控除額を超える場合などの相続人 | 実家だけでなく、預貯金、有価証券、保険金、借金を含む財産全体 |
| 相続登記 | 相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内 | 実家の土地や建物を相続で取得した人 | 土地と建物の登記名義、遺言書、遺産分割の状況 |
4つの期限は、死亡日から一律に数えるものではありません。起算点も対象者も異なるため、親の死亡日と自分が相続人だと知った日を記録し、該当する手続きだけを確認します。相続登記では、2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象となる場合があります。施行日前の相続については、2027年3月31日が期限になるケースがあるため、親や祖父母の名義が残っている実家は登記事項証明書で確かめてください。
出典:裁判所「相続の放棄の申述」、国税庁「納税者が死亡したときの確定申告」。
出典:国税庁「相続税の申告と納税」、法務省「相続登記の申請義務化について」。
相続放棄を検討するときは実家の片付けを急がない
親に借金があったか確認できていないと、実家をどこまで片付けてよいのか迷うでしょう。相続放棄を考える余地があるなら、換金できそうな家財の売却や大量処分は急ぎません。先に財産と借金を確かめ、判断がつかない物はそのまま残して、弁護士または家庭裁判所へ相談します。民法では、相続財産の全部または一部を処分したとき、単純承認をしたものとみなされる場合があります。ただし、どの行為が処分に当たるかは事情によって変わるため、記事だけで判断するのは避けてください。
片付けの前に行う作業は3つです。遺言書、通帳、借入書類、固定資産税の通知書、金融機関やカード会社からの郵便物を分けて保管します。次に、見つけた資料から財産と借金を同じ一覧へ書き出してください。判断に迷う家財は写真を撮り、保管場所を記録します。捨てる物を選ぶのではなく、判断に必要な資料を失わないための作業です。
相続財産を調べても3か月以内に承認するか放棄するか決める資料がそろわない場合、家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられることがあります。期限を過ぎてから考えるのではなく、判断材料が足りないと分かった時点で相談先へ連絡してください。
出典:e-Gov法令検索「民法第921条」、裁判所「相続の放棄の申述」。
実家の相続手続きは3つの段階で進める
実家の名義を移す手続きは、次の3段階です。
- 第1段階:遺言書と相続人を確認する
- 第2段階:実家を引き継ぐ人を決定する
- 第3段階:相続登記を申請する
それぞれを順に解説します。
| 段階 | 行うこと | 完了の目安 | 次へ進む前の確認 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 遺言書、相続人、現在名義を確認 | 手続きを進める人と対象不動産が分かる | 自宅で見つけた遺言書の扱い |
| 第2段階 | 財産と借金を確認し、引き継ぐ人を話し合う | 相続する人と実家の分け方が決まる | 相続人全員の合意 |
| 第3段階 | 管轄法務局へ相続登記を申請 | 新しい名義を登記事項証明書で確認できる | 売却や管理に必要な次の手続き |
この順番なら、実家を誰が相続するか決まっていない段階で、登記書類だけを集め続ける状態を避けられます。期限が迫る場合は、相続人申告登記を利用できるか法務局へ確認してください。
第1段階:遺言書と相続人を確認する
実家の分け方を考える前に、遺言書の有無と、誰が相続人になるのかを確認します。
自宅で遺言書を探し、法務局の保管制度や公証役場も確認してください。封のある自筆証書遺言を見つけた場合、自分で開封せず、家庭裁判所へ検認を申し立てます。法務局で保管されていた遺言書と公正証書遺言は、検認の扱いが異なります。次に、亡くなった親の出生から死亡までの戸籍をたどり、相続人を確定させてください。実家は土地と建物の登記事項証明書を取り、所有者の氏名を確認します。
出典:裁判所「遺言書の検認」、法務省「自筆証書遺言書保管制度の証明書」。
第2段階:実家を引き継ぐ人を決定する
実家を誰の名義にするかは、財産と借金を確認し、相続放棄の判断を終えてから話し合います。
預貯金、保険、不動産、借金を同じ一覧へ載せると、実家だけを切り離して決めずに済みます。親名義の不動産を把握しきれない場合、2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度も確認手段の一つです。対象者の登記情報を検索し、所有不動産を一覧化した証明書の交付を請求できます。証明書に載った土地と建物は、固定資産税の通知書や手元の権利関係書類と照合してください。一覧へ出たことだけで現在の価値や利用状況まで分かるわけではないため、登記事項証明書も確認します。財産が分かったら、住む人、管理できる人、売却を望む人、費用を負担する人を家族で確認し、合意内容を遺産分割協議書へ反映します。
第3段階:相続登記を申請する
遺言または遺産分割の内容が決まったら、実家の所在地を管轄する法務局へ相続登記を申請します。
申請書と添付書類は、遺言による相続、遺産分割、法定相続のどれに当たるかで変わります。提出後は登記完了の連絡だけで終えず、登記事項証明書を取り、新しい所有者と土地・建物の表示を確かめてください。3年以内に遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記で申請義務を履行できる場合があります。ただし、相続人申告登記だけでは売却時に必要な名義変更を完了したことにはなりません。
実家を引き継ぐ人は4つの判断材料から決める
実家を引き継ぐ人を決める際は、4つの観点を家族全員で確認します。
- 実家に住みたい人を確認する
- 実家の価値とほかの財産を比較する
- 決定までの管理費と役割を決定する
- 住まない場合の売却時期を仮決めする
それぞれを順に解説します。
| 確認すること | 各自が書く内容 | 家族で決める内容 |
|---|---|---|
| 住む意思 | 住み始める時期と予定期間 | 実際に住む人 |
| 財産の比較 | 実家以外に希望する財産 | 評価方法と分け方 |
| 管理負担 | 担当できる作業と頻度 | 費用負担と精算方法 |
| 売却予定 | 売却への賛否と希望時期 | 査定を始める仮期限 |
実家に住みたい人を確認する
最初に聞くのは誰が相続したいかではなく、誰が実際に住むのか、いつから住めるのかです。
現在住んでいる人、将来住む予定がある人、誰も住まない場合に分け、家族全員の意向を確認します。「いつか住む」という返答なら、開始時期と、それまでの固定資産税や修繕費を誰が負担するかも尋ねてください。住む人が決まっていても、実家の価値がほかの財産より高ければ、兄弟との分け方を別に考える必要があります。口頭の返事だけで進めず、日付と回答を家族会議のメモへ残しておくと、後の確認がしやすくなります。
実家の価値とほかの財産を比較する
実家を引き継ぐ人だけを先に決めると、ほかの財産を分ける段階で話し合いをやり直すことがあります。
固定資産税の課税明細書で評価額を確認し、売却を考えるなら不動産会社の査定も取ります。この2つは目的が違うため、同じ金額にはなりません。そこへ預貯金、保険、有価証券、借金を加え、名義、確認資料、概算額を1枚へ記入してください。金額が確定していない財産は空欄にせず、「査定前」「残高証明書待ち」と状態を書きます。税務上の評価や特例の判断が必要なら、家族だけで金額を決めず税理士へ確認します。
決定までの管理費と役割を決定する
引き継ぐ人が決まるまでの期間も、鍵、郵便物、税金、保険、建物の状態を誰かが管理します。
家族会議では、鍵を保管する人、郵便物を確認する人、固定資産税や火災保険を立て替える人を決めてください。遠方の実家なら、現地を確認できる人と連絡を受ける人を分けても構いません。通風や敷地確認の頻度は、天候、建物の状態、近隣からの連絡に合わせて決めます。立替金は領収書と支払日を共有し、遺産分割後にどのように精算するかも記録しておくと、管理を担った人だけに負担が偏りにくくなります。
住まない場合の売却時期を仮決めする
誰も住まないと分かった時点で、売却を決定していなくても、査定を始める仮期限を置いておきます。
遺産分割前は、売却する可能性と希望時期を相続人の間で確認します。相続登記が終わった後に査定と売却準備へ移れるよう、家財、境界、権利関係の担当も決めてください。相続した空き家の売却には、条件と期限を満たす場合に使える税の特例があります。ただし、建築時期、居住状況、売却時期などで扱いが変わります。売却価格だけで時期を決めず、税務署または税理士へ対象条件を確認したうえで、家族で決めた売却予定を見直してください。
実家の相続手続きで先に集める書類
先に集める書類の取得先は、4つです。
- 市区町村では戸籍と住民票を取得する
- 法務局では登記事項証明書を確認する
- 自宅では遺言書と固定資産税の通知書を確認する
- 家族の合意後に遺産分割協議書を作成する
それぞれを順に解説します。
| 書類 | 使う場面 | 主な取得先 | 確認点 |
|---|---|---|---|
| 戸籍証明書 | 相続人の確認 | 市区町村 | 必要な人と期間 |
| 住民票の除票・戸籍の附票 | 登記名義人の住所確認 | 市区町村 | 登記上の住所とのつながり |
| 登記事項証明書 | 実家の名義と不動産表示の確認 | 法務局 | 土地、建物、共有持分 |
| 固定資産税課税明細書 | 不動産の把握と登録免許税の準備 | 自宅または市区町村 | 申請年度の資料 |
| 遺産分割協議書 | 合意内容による相続登記 | 相続人が作成 | 相続人全員の合意 |
必要書類は、遺言、遺産分割、法定相続のどの方法で登記するかによって変わります。この表だけで書類がそろうとは限らないため、管轄法務局の案内と照合してください。
市区町村では戸籍と住民票を取得する
戸籍は相続人の確認に使い、住所関係の書類は亡くなった親と登記名義人が同一人物だと示すために必要です。
亡くなった親の出生から死亡までの戸籍と、相続人の現在戸籍が基本になりますが、必要な範囲は家族関係で変わります。本籍地が複数に移っていても、広域交付を使えば、最寄りの市区町村窓口で戸籍証明書や除籍証明書をまとめて請求できる場合があります。広域交付を請求できるのは、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属です。一部の戸籍は対象外となるため、来庁前に窓口へ確認してください。
法務局では登記事項証明書を確認する
固定資産税の通知書だけで済ませず、土地と建物の登記事項証明書で現在の名義を確かめます。
通知書に書かれた住所と登記上の地番は表し方が違うことがあるため、土地と建物を分けて照合してください。私道や共有持分は、相続登記の対象か確認が必要です。親が別の地域にも不動産を持っていた可能性があるなら、固定資産税の通知書や権利関係の書類を探します。把握できない場合は、所有不動産記録証明制度を使えるか法務局へ尋ねると、登記漏れを確認する手掛かりになります。
自宅では遺言書と固定資産税の通知書を確認する
自宅では名義変更に使う書類だけでなく、遺言と不動産の範囲を判断できる資料から探します。
遺言書、固定資産税納税通知書、権利証または登記識別情報、住宅ローン、火災保険の書類を分けて保管してください。通帳や重要書類と一緒に置かれているとは限らないため、机、金庫、書類棚、郵便物を順に確認します。権利証が見つからない場合も、自己判断で登記を諦める必要はありません。相続登記で必要となる書類は申請方法によって異なるため、見つかった資料を持って法務局または司法書士へ相談します。
家族の合意後に遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議書は、実家を誰が取得するかについて相続人全員が合意した後に作成します。
先に相続人と財産を確定し、実家の表示は登記事項証明書どおりに記載します。署名、押印、印鑑証明書など、相続登記で必要となる資料も申請方法に合わせて準備してください。合意前の案を完成版として扱うと、後から見つかった相続人や財産によって作り直すことがあります。相続人同士で争いがある場合は弁護士へ、登記に使う文言や添付書類に不安がある場合は司法書士へ相談するのが担当範囲に沿った選び方です。
出典:法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」。
相続税の申告要否は実家以外の財産も含めて確認する
相続税がかかるかどうかは、実家の固定資産税評価額だけでは判断できません。預貯金、有価証券、保険金のうち課税対象となるもの、ほかの不動産などを含め、遺産全体の概算額を出します。そこから借入金や未払い金などの債務、相続税上差し引ける葬式費用を確認し、基礎控除額と比べてください。
基礎控除額は、3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた金額を加えて計算します。たとえば法定相続人が3人なら4,800万円です。ただし、相続放棄をした人がいる場合の人数の扱いや、相続開始前の贈与、生命保険金の非課税枠などは別の確認が要ります。
遺産の課税価格が基礎控除額を超える場合、相続税の申告期限は死亡を知った日の翌日から10か月以内です。小規模宅地等の特例などを使った結果として納税額が出ない場合でも、特例を受けるために申告が必要となることがあります。土地の評価や特例の要件を記事だけで決めず、税務署または税理士へ確認してください。
出典:国税庁「財産を相続したとき」、国税庁「小規模宅地等の特例」。
手続きが止まったときは4つの相談先から選ぶ
相談先は、手続きが止まった理由によって4つに分かれます。
- 相続人同士で合意できない場合は弁護士へ相談する
- 登記申請に不安がある場合は司法書士へ相談する
- 相続税の申告要否が分からない場合は税理士へ相談する
- 書類の取得先だけ分からない場合は行政窓口へ確認する
それぞれを順に解説します。
| 相談先 | 相談する状況 | 持参したい資料 | 先に確認できる窓口 |
|---|---|---|---|
| 弁護士 | 相続人間の対立や遺言の争い | 相続関係図、財産一覧、連絡履歴 | 自治体や弁護士会の法律相談 |
| 司法書士 | 相続登記の書類や申請 | 登記事項証明書、戸籍、遺言または協議書 | 法務局の登記手続案内 |
| 税理士 | 相続税の申告要否や土地評価 | 財産一覧、残高資料、固定資産税通知書 | 税務署の税務相談 |
| 行政窓口 | 書類の取得先と手続き窓口 | 故人と申請者の基本情報 | 市区町村、法務局、家庭裁判所、税務署 |
相続人同士で合意できない場合は弁護士へ相談する
連絡を無視する相続人がいる、分け方に反対がある、遺言の有効性で争っている場合は、法律問題として相談します。
相談前に、誰が相続人かを示す関係図、把握している財産の一覧、家族間で交わした連絡の記録をそろえてください。何が決まっていて、どこから意見が分かれたのかを時系列で書くと、相談時に経緯を伝えやすくなります。弁護士へ相談しただけで合意できるとは限りませんが、交渉、遺産分割調停、訴訟のどの段階にあるのかを確認できます。相手を説得する方法だけを求めず、自分が譲れない条件も言葉にして持参してください。
登記申請に不安がある場合は司法書士へ相談する
祖父名義のまま相続が重なっている、不動産が複数地域にある、相続人が多い場合は、登記手続の確認量が増えます。
登記事項証明書、集めた戸籍、遺言書または遺産分割協議書を持参し、足りない資料と申請の順番を確認してください。期限が近いのに遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記を利用できるかも相談できます。司法書士は登記申請の代理を担当しますが、相続人同士の紛争で一方の代理人として交渉する仕事とは分けて考える必要があります。争いがあるなら弁護士への相談も検討してください。
相続税の申告要否が分からない場合は税理士へ相談する
遺産総額が基礎控除額に近い、土地の評価方法が分からない、税の特例を検討する場合は、税理士や税務署へ早めに相談します。
固定資産税の通知書、預金残高、有価証券、保険、借金、葬式費用の資料を一覧と一緒に持参してください。資料がそろっていなくても、何が不足しているかを確認する相談はできます。特に、実家の土地評価や小規模宅地等の特例は、居住状況や取得する人によって確認事項が変わります。申告期限の直前に初めて相談するのではなく、遺産総額が基礎控除額を超えそうだと分かった時点で連絡してください。
書類の取得先だけ分からない場合は行政窓口へ確認する
書類の場所が分からないだけなら、最初から専門家へ依頼せず、担当する行政窓口を確認する方法もあります。
戸籍と住民票は市区町村、登記事項証明書と管轄法務局は法務局、相続放棄の申述は家庭裁判所、相続税は税務署が窓口です。問い合わせる前に、亡くなった親の氏名、死亡日、本籍、最後の住所、実家の所在地を分かる範囲でメモしてください。窓口では書類の取得方法や一般的な手続案内を受けられますが、家族間の争い、遺産の分け方、節税方法の個別判断まで回答するとは限りません。個別判断が必要になった段階で、内容に合う専門家へ相談します。
実家の相続手続きでよくある質問
ここでは、本文で触れていない3つの疑問に答えます。
- 実家が祖父名義のままでも手続きを進められますか?
- 故人の貸金庫は一人で開けられますか?
- 立て替えた葬儀費用は遺産から精算できますか?
それぞれを順に解説します。
実家が祖父名義のままでも手続きを進められますか?
祖父名義のままでも手続きは始められますが、祖父から現在までの相続関係を順に確認する必要があります。
祖父が亡くなった時点の相続人を戸籍で確定し、その後に亡くなった相続人がいれば、次の相続人も確認します。祖父から現在までの相続をたどるため、通常より集める戸籍や協議に加わる人が増えるでしょう。まず登記事項証明書で名義を確かめ、分かる範囲の家系図と戸籍を持って法務局または司法書士へ相談してください。相続人の中に連絡が取れない人や合意できない人がいる場合は、弁護士の担当となる可能性があります。
故人の貸金庫は一人で開けられますか?
貸金庫を一人で開けられるかは銀行の手続きと契約状況で異なるため、鍵があっても先に銀行へ連絡します。
銀行には、契約者が亡くなったこと、相続人であること、貸金庫に遺言書や財産資料がある可能性を伝えてください。必要な戸籍、本人確認書類、相続人の同意、立会人などは銀行ごとに確認します。中身を確認できたときは、その場で持ち帰る物だけを選ばず、品目と状態を記録し、可能なら相続人間で共有してください。遺言書を見つけた場合は開封せず、法務局保管の有無や家庭裁判所の検認が必要かを確認します。
立て替えた葬儀費用は遺産から精算できますか?
立て替えた葬儀費用の精算は、遺産分割とは別の問題になることがあるため、相続人間で合意を確認します。
領収書、支払日、支払先、費用の内容を一覧にし、香典の受取額も別に記録してください。国税庁は、一定の相続人などが負担した葬式費用について、相続税の計算上、遺産総額から差し引ける範囲を示しています。ただし、税計算上の控除と、家族間で誰が費用を負担するかは同じ問題ではありません。相続人全員で合意できない場合は、葬儀費用を自己判断で故人の預金から引き出さず、弁護士へ相談します。
期限を書き出し、遺言書と実家の名義から確認する
親が亡くなった後、最初からすべての相続書類を集める必要はありません。まず、相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記のうち、自分に関係する期限を書き出します。次に、遺言書の有無、相続人、実家の登記名義を確認してください。
借金の有無が分からず相続放棄を考える余地があるなら、換金できそうな家財の売却や大量処分は急ぎません。財産と借金が分かった後に、実家へ住む人、管理する人、費用を負担する人を家族で話し合います。合意した内容を遺産分割協議書へ反映し、管轄法務局へ相続登記を申請する流れです。
今日できるのは、親の死亡日を記録し、遺言書と固定資産税の通知書を探し、登記事項証明書で名義を確かめるところまでです。判断が止まったら、争いは弁護士、登記は司法書士、税は税理士、書類の場所は行政窓口という分け方で相談先を選んでください。
