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遺品整理はいつから始める?家族で時期を決めるための目安

この記事の目次
  1. 遺品整理を始める時期の目安
    1. 葬儀が終わった直後
    2. 諸手続きが一段落した頃
    3. 四十九日の法要を終えた後
    4. 相続の期限から逆算する場合
    5. 気持ちが落ち着いた時期
  2. 片付ける前に押さえる相続の期限
    1. 相続放棄の申述期限は3か月
    2. 故人の所得税の準確定申告は4か月
    3. 相続税の申告期限は10か月
  3. 作業に入る前に済ませること
    1. 1. 遺言書とエンディングノートの有無を調べる
    2. 2. 通帳や保険証券、契約書を探す
    3. 3. 相続人へ連絡して進め方の合意を取る
    4. 4. 賃貸契約や公共料金の契約内容を確認する
  4. 状況別に開始日をどう決めるか
    1. 賃貸住宅だった場合
    2. 持ち家で当面住む人がいない場合
    3. 遠方から通う場合
    4. きょうだいの予定が合わない場合
  5. 遺品整理の進め方
    1. 1. 部屋ごとに作業する範囲を区切る
    2. 2. 貴重品と書類を先に取り分ける
    3. 3. 残す物と手放す物を仕分ける
    4. 4. 自治体の区分に沿って不要品を出す
  6. 先延ばしにすると生じる負担
    1. 家賃や固定資産税などの維持費
    2. 建物の傷みと近隣への影響
    3. 遺産分割や申告手続きの遅れ
  7. 遺品整理業者へ声をかける時期
    1. 相続人の合意が取れた段階
    2. 現地を見てもらい見積もりを取る段階
    3. 作業日と搬出日を確定する段階
  8. よくある質問
    1. 相続人が遠方で立ち会えない場合、業者に作業を任せてもよいですか?
    2. 故人宛の郵便物や解約していない契約はいつまで保管すればよいですか?
  9. 自分の家の締切を書き出して開始日を決める

「葬儀は終えたけれど、実家の片付けをいつから始めればいいのか分からない」

「早く手をつけると、親に不義理な気がして手が止まる」

このようなお悩みはありませんか?

遺品整理を始める日は、家族の予定と、先に対応が必要な手続きを分けて考えます。まず相談したいのは、きょうだいが実家に集まれる日です。相続の手続きに使う書類は、家全体の片付けを待たずに探しておきましょう。この記事では、遺品整理を始める時期の目安と、作業前に必要な準備を解説します。相続手続きの期限、遠方や賃貸での日程の決め方、業者への相談時期も扱います。週末しか実家へ行けない方も、先に必要な作業が分かれば予定を立てやすいでしょう。家族と話す際の日程表づくりに役立ててください。

遺品整理を始める時期の目安

開始日を決めるときは、家族が集まれる日と、住まいや相続の手続きで対応が必要な日を分けて考えると整理しやすくなります。どちらを優先するかで、着手する時点は変わります。確認する項目は、次の5つです。

  • 葬儀が終わった直後
  • 諸手続きが一段落した頃
  • 四十九日の法要を終えた後
  • 相続の期限から逆算する場合
  • 気持ちが落ち着いた時期

それぞれを順に解説します。

葬儀が終わった直後

親族が実家に集まっているこの時期は、作業そのものより、残したい品と書類の所在を共有する機会に向いています。全員がそろう日は、この先そう多くありません。

共有といっても、その場で処分を始める必要はありません。仏壇まわり、通帳や保険証券の入った引き出し、アルバムを保管している場所など、場所ごとに写真を撮っておけば、帰宅後もきょうだいで同じものを見ながら話せます。

遠方から来た親族に、その日のうちに「これは捨てていいか」と判断を求めると、後から不満が残りやすくなります。迷う品は保留と決めて、日を改めて相談してください。

諸手続きが一段落した頃

葬儀後の届出が落ち着いた時点は、家族で作業日を相談する候補になります。窓口まわりの用事が減ると、週末をまとめて実家の作業に充てやすくなるためです。

ただし、手続きがすべて終わるまで片付けに入れないわけではありません。並行して進める場合に困るのは、必要な書類を誤って捨ててしまうことです。

そこで、実家に段ボール箱を1つ用意し、郵便物、通帳、保険や年金の封筒をまとめて入れる場所を家族で決めておきます。箱の保管場所を家族で共有すれば、誰が作業しても書類が散らばりません。手続き全体の流れは、関連記事で確認できます。

実家の相続手続きは何からはじめる?親の死後に確認する流れと期限

四十九日の法要を終えた後

全日本冠婚葬祭互助協会は、四十九日をすぎたら遺品を整理し、形見分けするものと片づけるものに分けると案内しています。親族が再び集まる日でもあり、開始の区切りとして挙げられることの多い時期です。

これは慣習の案内であり、宗派や家庭によって考え方は異なります。自分の家でどうするかは、菩提寺や年長の親族に、法要の日程とあわせて尋ねてみてください。

注意したいのは、法要の予定と相続手続きの期限は別の時計で動く点です。四十九日を待つあいだにも、後述する申述や申告の期限は進みます。法要の日程表と手続きの期限表は、分けて管理してください。

出典:全日本冠婚葬祭互助協会:形見分けとかたづけ

相続の期限から逆算する場合

相続の手続きに使う書類を探す時期と、家全体を片付ける時期は分けて考えます。先に動かすのは書類探しです。通帳、保険証券、証券会社や金融機関からの郵便物を見つけておけば、申述や申告の判断材料がそろいます。

ここで誤解しやすいのが期限の意味です。3か月、4か月、10か月という期間は、それぞれの手続きを行う期限であって、家財の処分を終える期限ではありません。家の片付けが途中でも、手続きは別に進められます。

相続放棄を考えている場合は、家財を売ったり捨てたりする前に弁護士や司法書士へ相談してください。各期限の起算点は、次章で一次情報とあわせて説明します。

気持ちが落ち着いた時期

手続きの期限と住まいの条件に余裕があるなら、遺族が納得できる時期まで待つ選択もあります。衣類や手紙を前にして手が止まるのは自然なことで、無理に進める必要はありません。

待つ場合に見ておきたいのが、その家の維持にかかる条件です。賃貸なら契約が続く限り賃料が発生し、持ち家でも固定資産税や光熱費の基本料金は残ります。続けて支払う必要がある費用は、請求書を見ながら家族で確認してください。

費用の見当をつけてから時期を決めたい方は、見積もりの読み方を先に知っておくと相談しやすくなります。

遺品整理の費用相場はどう調べる?見積もりが適正か判断する方法

片付ける前に押さえる相続の期限

開始時期を家族で話す前に、日付が決まっている手続きを先に押さえます。遺品整理の前に押さえる期限は、次の3つです。

  • 相続放棄の申述期限は3か月
  • 故人の所得税の準確定申告は4か月
  • 相続税の申告期限は10か月

それぞれを順に解説します。

期限起算点相談先
3か月自己のために相続の開始があったことを知ったとき家庭裁判所、弁護士、司法書士
4か月相続の開始があったことを知った日の翌日納税地の税務署、税理士
10か月被相続人が死亡したことを知った日の翌日所轄税務署、税理士

相続放棄の申述期限は3か月

相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ行います。

借入やカード会社の請求書が出てきて判断がつかない場合もあるでしょう。期間内に判断の材料がそろわないときは、期間伸長の申し立てにより、家庭裁判所が期間を伸ばせます。

この段階で気になるのが、家財に手をつけてよいかという点です。可否は事情によって変わるため、この記事では判断しません。相続放棄を考えているなら、家財を処分する前に弁護士や司法書士、または家庭裁判所へ相談してください。相談の際は、見つかった請求書や通帳の控えを持参すると話が早く進みます。

出典:裁判所:相続の放棄の申述

故人の所得税の準確定申告は4か月

準確定申告が必要な場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税を行います。年の中途で亡くなった人について、相続人などが1月1日から死亡日までの所得と税額を計算し、被相続人の死亡当時の納税地の税務署長へ提出します。

故人にどのような所得があったかによって、申告の要否は異なるものです。判断は税務署か税理士に尋ねてください。

片付け中に出てくる紙の中には、申告で使うものが混ざります。次の書類は捨てずに保管箱へ入れます。

  • 年金や給与の源泉徴収票
  • 医療費の領収書
  • 生命保険料や社会保険料の控除証明書

出典:国税庁:納税者が死亡したときの確定申告

相続税の申告期限は10か月

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に申告と納税が必要です。

申告が必要かどうかは、財産や債務の資料を持って、所轄税務署または税理士へ相談してください。

遺品の中の貴金属、骨董品、証券類は評価の対象になりえます。処分や形見分けの前に、品物を写真に撮り、どこから出てきたかをメモに残しておくと、後の説明に使えます。

出典:国税庁:相続税の申告と納税

作業に入る前に済ませること

開始日の見当がついたら、実家に入る前に済ませておく作業があります。先に書面と連絡を済ませておくと、当日に迷う場面が減ります。着手前に進めたい準備は、次の4つです。

  • 1. 遺言書とエンディングノートの有無を調べる
  • 2. 通帳や保険証券、契約書を探す
  • 3. 相続人へ連絡して進め方の合意を取る
  • 4. 賃貸契約や公共料金の契約内容を確認する

それぞれを順に解説します。

1. 遺言書とエンディングノートの有無を調べる

品物を仕分ける前に、遺言書やエンディングノートが残されていないかを探します。書面があれば、誰が何を受け取るかの前提が変わるためです。

探す場所は、机や金庫、仏壇まわり、貸金庫の鍵が見当たる場合はその取引先です。生前に「書いておいた」と聞いた記憶があれば、その話を覚えているきょうだいや親しい知人にも尋ねてみてください。

見つかったら、保管場所と表書きを相続人へ伝え、封がされたまま手元に保管します。開封してよいか、どの手続きが必要かの判断は自分で決めません。家庭裁判所や弁護士、司法書士に内容と形式を伝えて確認してください。

2. 通帳や保険証券、契約書を探す

通帳、保険証券、年金関係の書類、借入の明細は、ほかの品を動かす前にまとめて1か所へ集めます。家財を運び出した後では、紙類が紛れて見つけにくくなるからです。

見落としやすいのは、生活の中で紙をしまっていた場所です。

  • 仏壇や鏡台の引き出し
  • タンスの衣類の間、押し入れの紙袋
  • 本や封筒の間、カレンダーの裏

書類が出てこない契約も、郵便物から分かることがあります。請求書や保険会社からの通知が届くため、届いた郵便はしばらく捨てずにまとめて保管してください。

借入の有無がはっきりしない場合は、家財を売ったり処分したりする前に弁護士や司法書士へ相談します。相続放棄を考えているなら、申述の期限は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月です。

出典:裁判所:相続の放棄の申述

3. 相続人へ連絡して進め方の合意を取る

誰が中心になって進めるか、いつ作業するか、処分の判断を誰が決めるか。この3点を作業日の前に相続人へ伝え、返事をもらっておきます。

連絡の際に伝えると行き違いが減るのは、次の項目です。

  • 作業する日と時間帯
  • 当日に立ち会えるかどうか
  • 形見として残したい品を申し出る期限

写真、手紙、着物のように判断が割れやすい品は、現地でその場で決めずに保留箱へ入れます。箱に入れたものは後日あらためて話し合えば、作業当日の口論を避けられます。

遺産分割が終わっていない段階で価値のありそうな品を処分してよいかは、相続人の間で話し合い、判断に迷う場合は弁護士や司法書士へ相談してください。形見として渡す時期の考え方は、次の記事でも扱っています。

形見分けのマナーは?渡す時期や相手、品物の選び方

4. 賃貸契約や公共料金の契約内容を確認する

賃貸住宅や施設の居室は、明け渡し日が実質の締切になります。契約書を読み、分からない点は管理会社や施設へ問い合わせてから作業日を組みます。

国土交通省が示す標準契約書は、契約期間や賃料を一覧できる雛形です。敷金や原状回復の条文もありますが、使用が義務づけられた書式ではありません。実際の内容は手元の契約書で読みます。

確認する項目は、解約の予告期間、原状回復として求められる範囲、鍵の返却先、電気、水道、ガスの停止時期の4つです。作業中に掃除や照明で使うため、電気と水道だけは搬出が終わるまで残す選択もあります。停止の申し込み時期は、作業日が決まってから各社へ伝えてください。

出典:国土交通省:賃貸住宅標準契約書

状況別に開始日をどう決めるか

準備の見通しが立っても、開始日は家ごとの事情で変わります。住まいの形態と、集まれる人の予定が主な材料です。確認する項目は、次の4つです。

  • 賃貸住宅だった場合
  • 持ち家で当面住む人がいない場合
  • 遠方から通う場合
  • きょうだいの予定が合わない場合

複数に同時に当てはまる家もあります。それぞれを順に解説します。

賃貸住宅だった場合

明け渡しの予定がある場合は、契約書を読んだうえで管理会社に日程を相談するところから始めます。相談で決まった明け渡し日が、作業全体の起点になります。

合意した日程から、必要な作業を逆算してください。明け渡し日の前に搬出日、その前に仕分けの日、さらに前に初回の訪問日という順で、週末の予定に割り当ててください。

家賃の支払いがいつまで続くか、原状回復で何を求められるかを契約書で読みます。不明点は管理会社へ尋ねてください。国土交通省の標準契約書は雛形のため、実際の契約と異なる場合があります。一律の日数で解約できると考えずに尋ねてください。

出典:国土交通省:賃貸住宅標準契約書

持ち家で当面住む人がいない場合

外から締切が決まらない家では、書類を探す日と家全体を片付ける日を別の予定として組みます。期限のある申告に備え、必要な書類は先に集めておいてください。

家全体の作業日は、次の帰省の予定、きょうだいが集まれる日、売却を検討しているなら不動産会社との相談日を材料に決めます。三つのうち早く固まるものから押さえると、残りの予定も立てやすくなるでしょう。

注意したいのは、相続の期限を家全体の片付け期限と同じものとして考えないことです。相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月で、家を空にする期限ではありません。

出典:国税庁:相続税の申告と納税

遠方から通う場合

滞在できる日を先に決め、その日に出せるごみの種類と粗大ごみの申し込み方法を自治体へ尋ねてから、作業内容を割り振ります。収集日と滞在日がずれると、袋に詰めた物がそのまま残ります。

自治体へ問い合わせる項目は、次のとおりです。

  • 粗大ごみの申し込み方法と、収集日を指定できるか
  • 清掃施設へ直接運ぶ場合の受付曜日と事前予約の要否
  • 持ち込みに使える車両の条件

さいたま市では、遺品を不用品とそれ以外に分けたうえで、遺族が市の清掃センターへ直接運ぶか、遺品整理に対応する一般廃棄物収集運搬業の許可業者へ依頼する方法を案内しています。手順は自治体ごとに違うため、実家の所在地の案内を読んでください。

出典:さいたま市:遺品整理に係る不用品の処分

きょうだいの予定が合わない場合

全員がそろう日は、貴重品と形見の確認だけに充てます。袋詰めや搬出は人数が少なくても進むため、別の日に分けて設定してください。

当日に来られない人へは、作業の様子を写真で共有します。判断に迷う品は保留箱へ入れ、処分する前に品名の一覧を共有してください。

合意のないまま価値のありそうな品を手放すと、遺産分割の話し合いでもめる原因になります。判断がつかない品は残したままにして、相続人で話し合い、結論が出なければ弁護士や司法書士へ相談してください。

遺品整理の進め方

開始日が決まったら、次に迷うのは実家に入ってからの手の動かし方です。当日の作業は4つの段階で進みます。

  • 1. 部屋ごとに作業する範囲を区切る
  • 2. 貴重品と書類を先に取り分ける
  • 3. 残す物と手放す物を仕分ける
  • 4. 自治体の区分に沿って不要品を出す

それぞれを順に解説します。

1. 部屋ごとに作業する範囲を区切る

この段階で終える状態は、今回手をつける場所と、今回は開けない場所が決まっていることです。家全体を見渡すと途方に暮れますから、玄関の下駄箱、台所の引き出し一段というように、途中で中断しても困らない単位で区切ります。

仏壇のある部屋や寝室など、手に取るたびに気持ちが揺れる場所は後回しにしてかまいません。判断しやすい場所から着手する方法もあります。1日何部屋という目安は家の広さや物量で変わるため、滞在時間から逆算して範囲を決めます。

持ち込む道具も、今回の作業に合わせて選んでください。運び出す品には段ボール、割れ物の梱包には新聞紙や古布、割れ物を扱う際は耐切創性のある手袋、箱の中身を書き留めるにはラベルと油性ペンを用意します。

2. 貴重品と書類を先に取り分ける

現金、通帳、印鑑、保険証券などの証書、金庫や貸金庫の鍵は、他の品と混ぜずに1つの箱へまとめ、その日のうちに持ち帰ります。この段階で終える状態は、紛れたら探し直せない物が手元に集まっていることです。

書類は見た目が古くても捨てずに保管してください。相続税の申告が必要な場合、期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。領収書や年金・給与の通知、保険の書類は、税務署や税理士へ相談する際に持参してください。

出典:国税庁:相続税の申告と納税

指輪や時計などの貴金属は、金額の評価が相続人全員に関わります。売却を考える前に写真を撮り、きょうだいへ品名と状態を伝えておいてください。評価が関わる品は独断で手放さないのが安全です。申告が必要かどうかの判断は、税理士または所轄の税務署へ尋ねてください。

3. 残す物と手放す物を仕分ける

品物は残す、保留、手放すの3つに分け、その場で決まらない物は保留箱へ入れて作業を止めません。この段階で終える状態は、部屋にあった物がこの3つの箱のどれかに入っていることです。

箱にはラベルを貼り、どの部屋から出た物かを書いておきます。保留箱の中身は、ふたを閉める前に上から写真を撮ってきょうだいへ送ると、離れた相手も判断に加われます。帰宅後に電話で相談する際も、その写真を見ながら話してください。

手が止まりやすいのは写真と食器です。どちらも量が多く、残す基準を決めないまま一枚ずつ眺めると時間が過ぎます。進め方は次の記事で扱っています。

骨董品や着物など値段の見当がつかない品は、この記事で価値を断定できません。気になる物は保留箱に残し、買取や査定に出して金額を聞いてから手放すか決める方法もあります。

4. 自治体の区分に沿って不要品を出す

手放すと決めた品は、実家のある自治体の公式案内を読み、分別の区分と出し方に合わせて排出します。この段階で終える状態は、どの品をいつどこへ出すかが決まっていることです。

出し方は全国共通ではありません。さいたま市の案内では、まず遺品を不用品とそれ以外に分けます。不用品の運搬は、遺族が市清掃センターへ持ち込む方法と、遺品整理に対応する一般廃棄物収集運搬業の許可業者へ頼む方法があります。これは同市の運用で、収集日、粗大ごみの予約の要否、家電の扱いは所在地の窓口へ尋ねてください。

出典:さいたま市:遺品整理に係る不用品の処分

遠方から通う場合は、滞在する週末に出せる区分を先に調べておくと、積み残しが減ります。自分で運ぶか業者へ頼むかは、運び出す量や滞在できる日数が判断材料になります。迷うときは、自治体の案内に載る持ち込み先の受付時間と、滞在予定日を照らし合わせてください。

先延ばしにすると生じる負担

手順が分かっても、仕事や法要の合間では着手が遅れることがあります。開始日を決めかねている間に何が積み上がるのか、確認する項目は、次の3つです。

  • 家賃や固定資産税などの維持費
  • 建物の傷みと近隣への影響
  • 遺産分割や申告手続きの遅れ

それぞれを順に解説します。

家賃や固定資産税などの維持費

賃貸なら家賃と共益費、持ち家なら固定資産税や火災保険料が、住む人がいなくなっても発生し続けます。電気や水道も契約が残っていれば基本料金がかかります。

  • 賃貸:家賃、共益費、駐車場代
  • 持ち家:固定資産税、火災保険料
  • 共通:電気、ガス、水道の基本料金

金額はこの記事では示せません。実家に届いている請求書や通帳の引き落とし履歴を見れば、毎月いくら出ているかが分かります。合計額が分かると、作業を急ぐ理由と急がない理由を比べられます。解約できる契約と、作業が終わるまで残す契約の線引きも、そこで判断しやすくなります。

建物の傷みと近隣への影響

人の出入りがない家は通気と通水が止まり、庭木や郵便物の滞留が隣家への負担になります。室内の変化は外から見えないため、気づくのが遅れがちです。

  • 湿気がこもり、押し入れや畳にかびが出る
  • 食品や生ごみが残り、虫が発生する
  • 郵便物があふれ、不在が外から分かる
  • 庭木や雑草が伸びて隣地や道路へ張り出す

遠方で毎週は通えない場合でも、訪問した際に窓を開け、蛇口から水を流し、郵便受けの中を片付けながら家の状態を見てください。近所の方へ連絡先を伝えておくと、庭木や異変の知らせが届きます。

遺産分割や申告手続きの遅れ

家の中にある財産や契約書類を把握できないままだと、きょうだいとの話し合いも申告の準備も進みません。通帳や保険証券が出てこなければ、何を分けるのかという前提が定まらないためです。

支障が出る時期は手続きごとに違います。相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。書類が見つからず判断が難しい場合は、期限を待たずに家庭裁判所や専門家へ相談してください。税の申告が必要かどうかも、資料がすべて集まるのを待たずに税務署や税理士へ尋ねましょう。

出典:裁判所:相続の放棄の申述

家全体の片付けが終わらなくても、書類だけを先に集めておけば手続きは動かせます。分割の可否や申告の要否は個別の事情で変わります。判断に迷う点は、弁護士、司法書士、税理士など該当する専門家へ相談してください。

遺品整理業者へ声をかける時期

業者とのやり取りは3つの段階に分かれます。家族の合意から日程の確定まで、次の順番で相談すると進めやすいでしょう。

  • 相続人の合意が取れた段階
  • 現地を見てもらい見積もりを取る段階
  • 作業日と搬出日を確定する段階

それぞれを順に解説します。

相続人の合意が取れた段階

誰が契約者になり、費用を誰が負担するかを相続人の間で決めてから、候補となる業者を探します。契約後に「聞いていない」と言われると、作業を止めて話し合い直すことになるためです。

合意ができたら、電話やウェブサイトで次の点を尋ねます。

  • 所在地と、実家のある市区町村が対応エリアに入っているか
  • 作業範囲:家財の搬出だけか、清掃や貴重品の捜索も含むか
  • 許可や資格:家庭から出る不用品の収集運搬に必要な許可を持っているか
  • 買取の可否と、買取分を費用から差し引く扱いになるか

さいたま市は、遺品整理で家庭から出る不用品は一般廃棄物にあたり、その収集運搬には一般廃棄物収集運搬業許可が必要で、無許可業者への依頼は避けるよう案内しています。運用は自治体ごとに異なるため、実家のある自治体の案内も読んでから問い合わせてください。許可の有無は最初の電話で聞いて構いません。

さいたま市:遺品整理に係る不用品の処分

現地を見てもらい見積もりを取る段階

作業希望日を確定する前に業者へ現地を見てもらい、依頼範囲をそろえて複数社の見積書を比べます。部屋数や家財の量、搬出経路を見ないまま出た金額は、当日になって変わることがあるためです。

立ち会う日は、実家へ通える週末にまとめると移動の負担が減ります。訪問時は各社へ同じ説明をし、受け取った見積書で次の項目をそろえて読み比べます。

見る項目確認する内容
作業範囲と人数どの部屋まで含むか、作業員は何人か
搬出方法階段作業や、トラックを止める場所をどうするか
処分費の内訳品目ごとの処分費が分けて書かれているか
追加費用の条件どの場合にいくら加算されるか、書面にあるか
立ち会いの要否当日の立ち会いが必要か、不在でも可能か

見積額を判断する際は、次の記事で見積書の比較方法をご覧ください。

遺品整理の費用相場はどう調べる?見積もりが適正か判断する方法

作業日と搬出日を確定する段階

賃貸の明け渡し予定がある場合は、管理会社と日程を相談してから、立ち会える日を業者へ伝えます。搬出車両を止める場所や作業に必要な時間も聞き、日程を決めてください。

日程が決まったら、当日までに次を済ませます。

  • 通帳、印鑑、保険証券などの貴重品を持ち出す
  • 残す家具や仏具に紙を貼り、誰が見ても分かる印を付ける
  • トラックを止める場所を家主や近隣と相談して確保する
  • 作業日の前に近隣へ声をかけ、音や出入りの予定を伝える

最後に、作業範囲と日程、追加費用の条件を書いた契約書面を受け取り、きょうだいにも同じ内容を共有します。口頭で相談したことも書面に含まれているか、契約前に読んでおいてください。

よくある質問

日程を組む際に迷いやすい点として、次の2つの疑問にも答えます。

  • 相続人が遠方で立ち会えない場合、業者に作業を任せてもよいですか?
  • 故人宛の郵便物や解約していない契約はいつまで保管すればよいですか?

それぞれを順に解説します。

相続人が遠方で立ち会えない場合、業者に作業を任せてもよいですか?

立ち会いの要否は業者ごとに異なるため、見積もりの段階で「不在でも作業できるか」を尋ねてください。任せる場合でも、鍵の受け渡し方法、残す品の指定方法、作業中と作業後の写真を送ってもらえるかを事前に決めておくと、後で確認しやすくなります。通帳や印鑑などの貴重品は、作業前に家族で保管方法を決めてください。当日に判断の必要な品が見つかった場合、誰へ連絡するかも共有しておきます。写真だけでは判断できない品は処分せず、後日家族が現物を見るまで保留にするよう伝えるとよいでしょう。

故人宛の郵便物や解約していない契約はいつまで保管すればよいですか?

保管期間を一律に決めるより、手続きが終わるまでは残す、という考え方が扱いやすいでしょう。公共料金や通信、クレジットカードなどは、解約と最終請求の精算が済んだ時点で区切りが付きます。税の申告に関わる書類は、所轄税務署や税理士に必要な範囲を尋ねてから処分の可否を判断してください。届いた郵便物は箱を一つ決めてまとめ、きょうだいにも場所を伝えておきます。差出人ごとに分け、連絡済みか、返事を待っているかをメモにすると、同じ窓口へ別々に問い合わせる手間を減らせるでしょう。

自分の家の締切を書き出して開始日を決める

開始日は、家族の予定と住まいの契約から決めます。四十九日法要の前後で集まれる日、賃貸なら管理会社に確認した明け渡しの時期、自分ときょうだいが泊まりがけで通える週末。この3つを紙に書き出し、重なる日を候補として相談してみてください。

相続放棄の3か月や相続税の申告の10か月は、あくまで手続きの期限です。家全体を片付け終える期日ではありません。期限のある手続きを先に動かし、家財は後から時間をかけても構いません。

今日できることは3つあります。通帳や契約書類がどこにあるかを家族へ尋ねる、作業の候補日をきょうだいへ共有する、実家のある自治体のごみ案内を読む。故人に借金がある可能性があり相続放棄を考えている場合は、家財を売ったり捨てたりする前に、弁護士や司法書士、家庭裁判所へ相談してください。

きょうだいや家族と、同じ記事を見ながら話せます。

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この記事について

継ぐ家の編集部が、官公庁と自治体の公表している情報をもとに作成しました。個別の事情によって結論が変わる内容は、記事の中で相談先を示しています。誤りや古い情報を見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。