
この記事の目次
「親の時計や着物を誰に渡せばよいのか、決め方が分からない」
「親の友人から形見を望まれたが、きょうだいに相談せず渡してよいのか迷う」
このようなお悩みはありませんか?
形見分けでは、家族に残したい品を聞き、渡す相手の希望も確かめてから準備を進めます。品物に値打ちがある場合や相続放棄を考えている場合は、先に専門家への相談が必要です。葬儀を終えたばかりで、品物を見るのもつらい方もいるでしょう。急いで行き先を決めず、家族と相談しながら進めてください。この記事では、渡す時期や相手、品物の選び方から、手渡し・郵送の進め方、受け取る側のお礼や断り方まで解説します。週末しか実家へ行けない方も、まずは電話で家族の希望を聞くことから始められます。
形見分けは故人の思い出がある品を譲ること
形見分けは、故人が愛用していた品を、親しかった人へ譲る行為です。一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会の案内では、四十九日をすぎたら遺品の整理を行い、その中から形見分けする品と片づける品に分けると説明されています。品を選ぶだけでなく、故人をしのぶ品として相手に受け継いでもらうことが形見分けです。
似た言葉との違いは、次のとおりです。
| 形見分け | 故人の思い出がある品を親しい人へ譲ること |
| 遺品整理 | 持ち物を仕分けて片付ける作業 |
| 遺産分割 | 財産をどう分けるかを相続人で話し合うこと |
片付けの作業や財産の分け方とは目的が異なるため、同じ日に全部を決めようとせず、まず譲りたい品があるかどうかを家族で話題にするところから始めてください。
形見分けはいつ行う?宗教に合わせて時期を確かめる
時期の目安は家の宗教によって相談先が変わります。確認する項目は、次の3つです。
- 仏教では四十九日法要を目安に相談する
- 神道では祭祀を担当する神社に相談する
- キリスト教では所属する教会に相談する
それぞれを順に解説します。
仏教では四十九日法要を目安に相談する
四十九日法要を終えた後を目安に日取りを決め、法要までに渡す品を家族で選んでおくと進めやすくなります。全互協の案内でも、四十九日をすぎてから遺品を整理し、形見分けする品と片づける品に分けると説明されています。
法要で親族と会う予定があるなら、その場で手渡すのか、品を選び直して後日連絡するのかを考えておくとよいでしょう。四十九日は慣習上の区切りの名称であり、法律で定められた期限ではありません。遠方の親族がいるなら法要の場が渡しやすい機会になりますが、品が決まらない場合は無理に合わせず、改めて日を設けてください。
神道では祭祀を担当する神社に相談する
神道の場合は、祭祀をお願いしている神社へ形見を渡したい相手と希望する時期を伝え、差し支えのない日取りを相談します。家ごとに祭祀の進め方が異なるため、よそで聞いた日数をそのまま当てはめないほうが安全です。
神社へ聞くときは、葬儀後に家族や親族が集まる祭祀の予定があるか、その場へ形見の品を持参してよいかを質問にすると答えが具体的になります。連絡の前に、葬儀を依頼したときの書類や神社の連絡先の控えを確認しておきましょう。相談した内容もメモに残すと、家族に伝える際に役立ちます。返答をもとに、誰に声をかけるかを家族で決めてください。
キリスト教では所属する教会に相談する
キリスト教の家では、故人が所属していた教会へ形見を譲りたい意向を伝え、教会の集まりの予定に合わせられるかを相談します。信徒同士の交流があった場合、遺族が把握していない関係も教会側から分かることがあります。
教会の連絡先が分からないときは、葬儀のときに受け取った案内や、故人の手帳と年賀状に教会名が残っていないか確かめてみてください。教会へ聞くのは集まりの日程や場所の可否までです。どの品を誰に渡すかは家族で決める事柄ですから、相談と決定を分けておくと話が混ざりません。
形見分けは誰に渡す?故人との間柄から考える
全互協は、形見分けを故人と親しい近親者や友人に贈るものと案内しています。この範囲を手がかりに、確認する項目は、次の3つです。
- 相続人である家族に希望を聞く
- 相続人以外の親族には付き合いの深さを確かめる
- 親族以外の友人や知人には交流の様子を聞く
それぞれを順に解説します。
相続人である家族に希望を聞く
親の配偶者や子など相続人に当たる家族へ、残したい思い出の品があるかを一人ずつ聞くところから始めてください。先に全員の希望を出してもらうと、後から「自分も欲しかった」という行き違いが起きにくくなります。
聞き方は、品名だけでなく理由まで添えてもらうと決めやすくなります。父と出かけた旅行で使った鞄だから手元に残したい、母が毎日使っていた湯呑みを日常で使いたい、といった具合です。希望が重なった品は無理に当日決めず保留にして構いません。相続人が誰かはっきりしない場合は、戸籍の範囲の判断を含めて司法書士や弁護士へ確認してください。
相続人以外の親族には付き合いの深さを確かめる
相続人に当たらない親族へは、生前にどれだけ行き来があったかを手がかりに声をかけます。親戚という間柄だけで対象を広げると品が足りなくなり、渡す人と渡さない人の差が目立ってしまいます。
法事の席や電話で近況を伝える際に、故人との思い出で心に残っている品があるかを尋ねてみてください。なお全互協は、目上の人への形見分けはかえって失礼に当たる場合もあるため慎重にと案内しています。年長の親族へ渡すときは、事前に意向を確かめるほうが無難です。
親族以外の友人や知人には交流の様子を聞く
親の友人や元同僚など親族以外の方には、故人とどんな付き合いだったかを聞いたうえで品を考えます。趣味の会で使った道具や写真など、関係に結びつく品のほうが受け取る側も扱いやすいでしょう。
遺族が顔や連絡先を知らない相手の場合は、連絡の前に家族や親族へ関係を確かめます。年賀状や手帳の記録のほか、趣味の会の名簿や写真が残っていれば、相手の呼び名や交流の時期も分かるでしょう。相手が年長者であれば、渡す前に希望を聞く形にしておくと、気持ちの押し付けになりません。
形見分けはどう渡す?希望の確認から手渡しまでの4手順
渡す相手が決まったら、当日までに済ませる作業は順番が決まっています。確認する項目は、次の4つです。
- 1. 渡す前に相手へ希望を確かめる
- 2. 汚れを落として使える状態に整える
- 3. 包み方を確認して持ち運べるようにする
- 4. 受け取りやすい方法で品物を渡す
それぞれを順に解説します。
| 手順 | やること | 渡す前に確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 相手へ連絡して意思を聞く | 品名、状態、断ってよいこと |
| 2 | 洗濯、クリーニング、拭き取り | 素材、自分で手入れできるか |
| 3 | 包装の有無を決める | 包むなら奉書紙で軽くくるむ程度か |
| 4 | 手渡しか郵送かを決める | 会う予定、送付先、配送の条件 |
1. 渡す前に相手へ希望を確かめる
先に品名と状態を伝え、受け取る意思を聞いてから渡します。届いてから困らせないための確認です。電話や手紙で伝える内容は、次の4点にまとめられます。
- 誰の品か(故人との関係が分かる説明)
- 何の品か(品名と大きさ、個数)
- どんな状態か(使用感、傷や欠けの有無)
- 断っても差し支えないこと
声をかけるときは、断ってもよいことを添えてください。「父が愛用していた万年筆を、お使いいただけないでしょうか。ご無理のない範囲でお考えください」という伝え方なら、相手も自分の都合を話しやすいでしょう。断る選択肢を先に示すことが、関係を保つ要点です。
2. 汚れを落として使える状態に整える
そのまま渡さず、洗濯やクリーニング、拭き取りを済ませてから渡します。受け取った人がすぐ使える状態かどうかで、気持ちの受け止め方は変わってくるでしょう。
| 品目 | 注意する点 |
|---|---|
| 衣類 | 洗濯表示を見て、家庭で洗えるかクリーニングかを分ける |
| 時計、装身具 | 電池切れや留め具の不具合がないか動かして確かめる |
| 器や道具 | 欠け、ひびを光にかざして確認し、使える物だけ残す |
革や絹、宝石が付いた品は、自分で洗うと傷む場合があります。素材が分からないときは専門店へ持ち込み、手入れできるか相談してください。直らない傷や欠けがある場合は、その状態を相手へ伝えたうえで渡すか判断します。
3. 包み方を確認して持ち運べるようにする
形見分けの品は贈りものではないという意味から、まったく包装をしないか、奉書紙で軽くくるむ程度にすると案内されています。華やかな包装紙やリボンは使いません。
奉書紙は、贈りものを包む際などに使われる和紙です。用意するものに迷ったら、親族の年長者や葬儀を依頼した互助会へ、包み方を尋ねてみてください。相手が持ち帰る際に傷が付かないよう、袋や箱も用意しておくと安心でしょう。
郵送する場合の梱包は、儀礼上の包装とは別の話になります。割れ物や精密機械は緩衝材で保護し、品物に合った箱の大きさや固定方法を配送会社の窓口で確認してください。
4. 受け取りやすい方法で品物を渡す
法要などで会う予定がある相手には、その場で手渡します。会う機会がない遠方の相手には、受け取る意思と送付先を確かめたうえで郵送する方法があります。
郵送するときは、短い添え状を同封してください。故人の品であること、思い出の一場面、自分の連絡先の3点を書き、お気遣いは不要と一言添えると、相手も受け止めやすくなります。
郵送してよいか迷うときは、相手に受け取りやすい方法を尋ねてください。破損時の補償や送料の扱いは、品物の種類によって条件が変わるため、申し込む前に配送業者へ確かめてください。
形見分けと並行して、相続の手続きにも期限のあるものがあります。全体の流れは実家の相続手続きは何からはじめる?親の死後に確認する流れと期限で確認できます。残った遺品を業者へ頼むか迷う場合は、遺品整理の費用相場はどう調べる?見積もりが適正か判断する方法もあわせてご覧ください。
形見にする品物は何を選ぶ?種類ごとの確認点
品物を選ぶときは、相手が使う場面があるか、保管できる場所があるかを先に確かめます。確認する項目は、次の4つです。
- 文房具や食器は使う場面を相手に確かめる
- 時計や貴金属は価値を確かめてから相談する
- 着物や衣類は保管や着用の希望を確かめる
- 写真は複製して分ける方法もある
それぞれを順に解説します。
文房具や食器は使う場面を相手に確かめる
万年筆や湯のみのように、相手が日常で使う場面を思い描ける品から相談します。普段使いできるかどうかが、受け取るかどうかの判断材料になるためです。
相談するときは、思い出と品物の状態を分けて伝えます。「毎朝この湯のみでお茶を飲んでいました」という話と、「縁に小さな欠けがあります」「インクの出が少し渋い状態です」という説明は、どちらも必要です。使用感と傷は先に知らせると、後から行き違いになりません。
なお、日用品だから相続と無関係と決めつけることはできません。作家物の器や高価な筆記具は、次の見出しと同じように価値を確かめてから話し合ってください。
時計や貴金属は価値を確かめてから相談する
時計や貴金属は、渡す相手を決める前に品物の価値を確かめ、その内容を家族へ伝えてから相談します。相続税がかかる財産には、宝石など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが含まれるためです。
手元で確かめられるのは、鑑定書、保証書、購入時の領収書です。引き出しや金庫に書類が残っていないか探し、見つからない場合は専門店へ持ち込んで、どの程度の品かを尋ねる方法があります。
店で示される査定価格と、税務上の評価額は同じものではありません。課税されるかどうかの判断は、後の章で扱う考え方を踏まえ、税務署または税理士へ確かめてください。
着物や衣類は保管や着用の希望を確かめる
サイズが合うか、しまう場所があるかを尋ねてから譲ります。たんす一棹分の着物は、受け取る側の住まいによっては保管場所に困る品になるためです。
着る予定がないという返事でも、そこで話を終えなくてかまいません。母が式で着た一枚だけ手元に残したい、という希望が出ることもあります。着用か保管か、どちらの気持ちで受け取るのかを聞いてから、譲る枚数を相談してください。
手入れの方法は素材によって異なります。洗濯表示を見て、絹や毛の品は専門店へ相談してください。虫干しやクリーニングを全部の衣類に行う必要はなく、渡す品だけを整えれば足ります。
写真は複製して分ける方法もある
原本が1枚しかない写真でも、焼き増しやデータ化をすれば複数の相手へ分けられます。誰か1人に渡して他の人が持てなくなる事態を避けられる点が利点です。
分ける前に、家族で残す写真を選ぶ作業があります。進め方は遺品整理で写真はどうする?家族で残す写真を選ぶ進め方で確認できます。
アルバムをまとめて渡すと、相手の保管場所を占めてしまうこともあるでしょう。相手が写っている数枚を選び、必要であればアルバムごと預かりたいか尋ねる形にすると、負担をかけずに済みます。
現金や商品券は、形見として手渡すより財産の分け方として話し合う対象になります。ペットを引き取る相手も、品物とは別に、世話を続けられるかを含めて相談してください。
形見分けに税金はかかる?品物の受け取り方で確認する
形見という呼び名がついた品でも、それだけで税金の対象外になると判断はできません。確認の出発点は、その品をどういう原因で受け取ったかです。確認する項目は、次の2つです。
- 相続や遺贈で受け取る場合は相続税を確認する
- 相続後に別の人から譲られる場合は贈与税を確認する
それぞれを順に解説します。
相続や遺贈で受け取る場合は相続税を確認する
故人の持ち物を相続や遺贈で受け取ったときは、その品も相続税の確認対象に入ります。相続税は相続や遺贈で取得した財産にかかり、その財産には宝石など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが含まれます。
つまり、預貯金のような現金だけを見れば足りるわけではありません。指輪、時計、美術品のように売買の対象になりうる品も、財産の一部として数えたうえで全体を確認します。一方で、形見なら何円までは非課税、といった金額の線引きを家族で決めてしまうと、申告の要否を誤る恐れがあります。
高価と感じる品が出てきた場合は、持ち出す前に写真と品名を控えておき、財産全体の資料とあわせて税務署または税理士へ相談してください。
相続後に別の人から譲られる場合は贈与税を確認する
いったん相続した人の財産になった品を、その人から別の人へ渡す場面は、相続ではなく個人からの贈与にあたります。贈与税は個人から贈与によって財産を取得したときにかかる税金ですが、受け取るたびに税金が発生するという意味ではありません。
故人から直接受け継ぐ遺贈と、相続後に相続人が渡す贈与は、同じ品であっても取得原因が異なります。どちらに当たるかで確認する税目が変わります。親の友人や甥、姪へ渡す場合でも、相続人以外だから一律に贈与税がかかる、という決め方はできません。
宝飾品や美術品など価値の判断がつきにくい品を渡すときは、渡す前に品名と状況を書き出し、課税の有無は税務署または税理士へ確認してください。
形見を渡す前に確認したい相続の手続き
税金の扱いと並んで気になるのが、誰が財産を受け継ぐかが決まる前に品を渡してよいのかという点です。受け継ぐ人が固まらないうちに独断で渡すと、後から扱いを問われることがあります。確認する項目は、次の2つです。
- 遺産分割の話し合い
- 相続放棄の検討
それぞれを順に解説します。
遺産分割の話し合い
財産の分け方が決まっていない段階では、同居していた家族だけの判断で品を外へ出さず、相続人へ扱いを確認してから進めます。実家に通っている人ほど品に触れる機会が多く、良かれと思って渡した品が後で議論になることがあります。
確認の相手は、親族全員ではなく相続人です。葬儀に集まった親戚と、法律上財産を受け継ぐ人は一致するとはかぎりません。誰が相続人かを先に把握してから声をかけます。
話合いがつかない場合には、家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判を利用できます。調停は相続人の1人もしくは何人かが、他の相続人全員を相手方として申し立てる手続きです。同意の法的な効力や遺言の読み方で迷うときは、弁護士や司法書士へ相談してください。
出典:裁判所:遺産分割調停
相続放棄の検討
親に借入があるかもしれず相続放棄を考えている場合は、形見を譲る前に弁護士や司法書士へ品物と状況を伝えて相談してください。請求書や督促状が家から出てきた時点で、片付けの手を進めてよいかの判断が変わります。
形見にする品も相続財産に当たることがあり、譲渡や処分の進め方が相続放棄の判断に関わる場合があります。思い出の品だから問題ない、と家族だけで決めないようにしましょう。相談では、どの品を誰に渡そうとしているのかを具体的に伝えます。
品名と保管場所を書いた一覧、品の写真、借入が分かる郵便物が、相談時の手がかりになります。資料がすべてそろうまで待つのではなく、今分かっている状況で何を控えればよいかを確認してください。
形見分けでもめないために踏む4つの手順
相続の確認先が分かったら、次は家族の中で渡す品を決める作業です。思いついた順に渡すと、誰に何が渡ったか分からなくなります。確認する項目は、次の4つです。
- 1. 渡す候補の品を一覧にまとめる
- 2. 価値が分からない品は査定で確かめる
- 3. 誰に何を渡すかを相続人へ伝えて同意を得る
- 4. 誰に何を渡したかを記録に残す
それぞれを順に解説します。
1. 渡す候補の品を一覧にまとめる
家族に見せる一覧を作るため、部屋ごとに形見の候補を確かめ、品名と保管場所を1枚の紙に書き出します。寝室のたんす、仏間の引き出しというように場所をたどると、同じ品を二重に数えずに済みます。
一覧に入れる項目は、品名、保管場所、希望している人、渡した日の4つです。希望者の欄は空のままで構いません。後から相続人へ相談した結果を書き足せるようにしておきます。
品を並べて写真を撮り、一覧と一緒に共有すると、実家へ来られないきょうだいにも状態が伝わります。週末しか動けない場合は、1日で全室を回らず、部屋単位で区切って進めてください。
2. 価値が分からない品は査定で確かめる
値段の見当がつかない品は、誰かへ渡す前に査定や専門店で確かめます。腕時計、指輪、掛け軸、着物のように、見た目では判断しにくい品が対象です。
確認の目的は売ることではありません。相続人へ説明するための材料をそろえるための確認です。価値が分かっていれば、特定の人へ渡す案にも根拠を示せます。
依頼先に確認する点は3つあります。出張して見てもらえるか、売却せず査定だけ頼めるか、結果を書面でもらえるかです。名義の変更が必要になる品が含まれる場合は、扱いを各手続き窓口や専門家へ確認してください。
3. 誰に何を渡すかを相続人へ伝えて同意を得る
品物の一覧に渡す相手の案を添えて相続人へ共有し、それぞれの意向を確かめてから実際に品を渡します。先に渡して事後報告にすると、相談を受けていない家族との行き違いにもなりかねません。
全員が実家に集まれないときは、一覧の写真をメールやメッセージで送り、返信の期限を添えます。返事がない相手には電話で確かめ、聞き取った内容を一覧の余白に書き加えてください。
反対が出た品は、その場で押し切らず保留にします。たとえば母の指輪を姪へ渡す案に異論が出たなら、一覧に保留と書いて手元に残し、分け方が決まる時期まで待ちます。権利の有無など法的な判断は、前章の相談先へつないでください。
4. 誰に何を渡したかを記録に残す
渡した日、品名、渡した相手、相続人の同意の有無をメモに残します。後から誰かに聞かれたとき、この4項目が経緯を伝える手がかりです。
手順1で作った一覧があれば、渡した日の欄を書き足してください。渡す直前に品の写真を撮り、メモと一緒に家族のグループへ送っておくと、離れて暮らすきょうだいも同じ情報を持てます。
後から経緯を確認できるよう、記録は家族で共有しておきましょう。関連する書類と一緒に保管します。紙が増えて分かりにくい場合は、一覧を写真に撮って保存しておく方法もあります。
形見を受け取る側はどう対応する?
渡す側の手順が決まると、今度は受け取る立場で迷う場面が出てきます。親族から品を差し出されたとき、どう答えればよいか分からない方もいるでしょう。確認する項目は、次の3つです。
- 受け取ったら感謝の言葉を伝える
- 受け取れないときは無理のない言葉で断る
- 手放したいときは譲ってくれた家族に相談する
それぞれを順に解説します。
受け取ったら感謝の言葉を伝える
品が手元に届いたら、届いた事実と感謝を電話か手紙で相手へ伝えます。郵送で受け取った場合は、荷物が無事に着いたと分かるだけでも、送った側は安心できます。
何を書けばよいか迷うときは、故人との思い出を一つ添えてみてください。「万年筆を確かに受け取りました。学生の頃に手紙をいただいたことを思い出しています。大切に使わせていただきます」といった短い文で十分です。
品物でのお返しが気になるときも、金額や品選びに迷って連絡が遅れないようにしましょう。迷う場合は、まず言葉で感謝を伝えるところから始め、相手の様子を見て判断してください。
受け取れないときは無理のない言葉で断る
受け取れない事情があるなら、理由を一つだけ簡潔に添えて伝えます。長い説明より、相手が納得しやすい短い言葉のほうが角が立ちません。
たとえば「家具を保管する場所がなく、お預かりしても傷めてしまいそうです」「着物は手入れが難しく、どなたか扱える方にお譲りいただけますか」という伝え方があります。故人の好みや遺族の判断を否定する言い方は避け、自分の事情として説明すると穏やかに収まります。
すぐに決められないときは、「家族に確認してからお返事してもよいですか」と伝えましょう。返答を待ってもらえるか、相手の都合も聞いてください。
手放したいときは譲ってくれた家族に相談する
保管が難しくなった品は、自分だけで処分を決める前に、譲ってくれた家族へ一声かけます。親族の中に引き取りたい人がいないか、まず尋ねてみてください。
相談では、保管が難しくなった事情を伝え、戻してほしい人がいるかを確認します。品物の状態が分かる写真を添えると、相手も引き取れるか考えやすいでしょう。
供養を希望するときは、品物を送る前に受付先へ相談しましょう。お焚き上げを希望する場合は、受付先の寺社や業者へ、対象になる品の種類と申し込み方法を事前に確かめてください。
形見分けを終えたあとに残る遺品の片付けへ進む
形見分けは、時期を家の宗教や法要の日程に合わせて確認し、相手の希望を聞き、家族で品の扱いを確かめてから渡すという順で進みます。仏教なら四十九日をすぎてから遺品を分け、形見にするものと片づけるものに分ける目安が示されています(全日本冠婚葬祭互助協会:形見分けのマナー)。
渡す品が決まると、次は残った日用品の行き先です。食器や鍋など数の多い品は、状態によって行き先が変わるため、遺品整理の食器はどう処分する?状態別の行き先と自治体への出し方を参考に、自治体の収集条件から確かめてください。
週末だけでは運び出せない量が残る場合もあります。費用の見当をつけたいときは、遺品整理の費用相場はどう調べる?見積もりが適正か判断する方法で見積もりの見方を確認できます。まずは家族に、残したい品の希望を聞くところから始めてください。
きょうだいや家族と、同じ記事を見ながら話せます。


